あさかぜ日記
弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 小島 くみ
対馬ひまわり基金法律事務所の引継式
去る令和7年5月26日、長崎県対馬市美津島町にある対馬グランドホテルにおいて、対馬ひまわり基金法律事務所の引継式及び披露会があり、参加してきました。
対馬は、九州の最北端に位置し、南北82キロメートル、東西18キロメートルであり、海岸線は915キロメートル、標高500メートル前後の山々からなる島です。そして、福岡までは、海路138キロメートルであるのに対し、釜山まではわずか49.5キロメートルと、いわゆる「国境の島」でもあります。また、山林が面積の89%を占める自然豊かな島であり、国の天然記念物のツシマヤマネコをはじめ、対馬でしか見ることのできない生物や、朝鮮半島などの大陸系の動植物が多く生息しています。
このような対馬全体が、人口2万7000人の対馬市であり、近年は大韓民国(韓国)からの観光客が増加しているとのことで、島内の至る所にハングルが併記された標識や案内を見ることができます。
対馬ひまわり基金法律事務所は、平成17年に日弁連、九弁連及び長崎県弁護士会の支援を受けて、対馬市厳原町に開設され、これまで佐古井啓太弁護士など8人の弁護士が代々所長を引き継いできましたが、このほど藤田大輝弁護士が9代目として、所長を引き継ぐこととなりました。佐古井弁護士も藤田弁護士も、あさかぜで研鑽を積んだ弁護士です。
対馬における佐古井啓太弁護士の退任挨拶
佐古井弁護士は、令和5年3月に8代目所長として対馬ひまわり基金法律事務所に着任の後、2年間の任期中に約344件の相談を受け、そのうちの156件を受任したとのことです。
佐古井弁護士は、退任の挨拶において、「対馬ひまわり基金法律事務所は、近く20周年を迎えます。歴代所長の尽力により、対馬の皆様方には、その存在を一定程度知っていただいていると自負しています。
今後も、所長はよりいっそう研鑽を積んで、対馬の皆様方の信頼に応えていくようにしなければならないと思っています。そして、9代目所長には、自分がなしえなかった峯町、上県町、上対馬町などの上対馬の地域における法律相談の需要の掘り起こしにも力を入れていってもらいたいと考えています」と語りました。
藤田大輝弁護士の着任挨拶
藤田弁護士は、着任挨拶において、「人が、人生の中で、他人や家族との関係における問題や犯罪被害などに直面したとき、法律家から適切な助言を受けて、裁判などの司法サービスにアクセスすることは当然の権利です。にもかかわらず、弁護士が身近にひとりもいないため、弁護士に相談することができない人々がいることを知り、人の悲しみや苦しみを受け止め、これら悲しみなどを解消していきたいと思い弁護士になりました。そして、このような考えのもと、このたび、弁護士として、自ら希望して対馬にまいりました。対馬では、出張相談など積極的に事務所の外に出る活動をし、対馬の人々のさまざまな話を聞けるようになりたいたいと考えています。また、少しでも多くの対馬の人々の話を聞くことができるように、地域活動に参加するなどして、弁護士に対する物理的、心理的ハードルを下げるようにしたいと考えています」と、声高らかに宣言しました。
披露会
新型コロナウイルスの流行後、引継式は、飲食を伴わない形式で実施されていました。しかし、このたびは、対馬の行政や裁判所、そして、対馬ひまわり公設事務所の運営等に関わる人々など、多数の関係者の出席のもとに披露会が盛大に開催されました。
佐古井弁護士が対馬において築き上げた信頼、そして藤田弁護士に対する地元の期待が大きいことを、私も肌で実感することができました。
私も、いつか
このたび、私は初めて先輩弁護士の引継式に参加しました。
私も、今後、あさかぜを卒業し、司法過疎地に赴任したいと思っています。引継式に参加したことで、改めて司法過疎地で私も活躍できるよう研鑽を積んでいかねばならないとの思いを強くしました。
会員の皆様には、今後とも私たちあさかぜ所員への温かいご支援とご指導をお願いいたします。